おまとめローンのメリット・デメリット
おまとめローンとは、複数業者から借入れをしている人が債務の一本化をして、返済先と支払日を1つにまとめることができるローンです。
単に借金の借入先を1つにするだけではなく、月々の支払負担を減らして返済を楽にするという目的があります。
一見すると良いことずくめのおまとめローンですが、いくつかのデメリットも存在します。銀行、消費者金融、それぞれの提供するおまとめローンの特性を知り、自分の状況に合った金融機関を見極めることが重要です。
おまとめローンのメリット
複数の借り入れを抱える人にとっておまとめローンを利用するメリットは多々あります。
まず、おまとめによって通常金利が下がるので、返済総額を減らせる場合が多いことです。
さらに返済先が1つになることで、返済日も月に1度だけになって管理が楽になります。そして最大のメリットともいえるのは、債務整理などではないため、個人信用情報機関の履歴に全く傷をつけないことです。
長所①おまとめローンで金利が下がる
おまとめローンにすると、通常今までよりも金利が下がるので利息負担が軽減されます。
おまとめローンで金利が下がる理由は、利息制限法という法律によります。この法律の第一条では、カードローンの上限利息を次のように定めています。
利息制限法による金利の上限
元本の額 |
利息の上限 |
---|---|
10万円未満 |
年20.0% |
10万円以上100万円未満 |
年18.0% |
100万円以上 |
年15.0% |
このように、借入額が大きくなるほど、適用金利が下がる仕組みとなっているのです。
利息制限法は、銀行・信販会社・消費者金融のすべてのカードローンの金利に適用されるので、どの金融会社のおまとめローンを利用しても法定上限金利は同じです。
長所②おまとめローンで毎月の返済が楽になる
一般的におまとめローンの一番の目的は、毎月の返済負担を軽くすることです。
そのため、各社のおまとめローンは金利と共に、毎月の返済額もできるだけ低くしていることが多いのです。
ただ返済額が少なくなるだけでなく、金利が低くなるということは利息支払い分も減るということです。毎月返済する金額から、元本の返済に回る割合が大きくなるので、返済金額によっては完済時期を早めることもできます。
おまとめローンのデメリット
新たな貸付を受けるときは、メリット・デメリットのどちらもチェックすることが、失敗しない秘訣です。意外に思うかもしれませんが、おまとめローンにもデメリットがあります。
まず、利用したくても審査に通りにくいという側面があります。おまとめを利用したいと考える人は、条件面で通常のカードローン申込をする人よりも厳しい状況の人が多いという特徴が、審査通過率に影響していると考えられています。
また、低金利・低い返済額というおまとめの利点が、デメリットに転ずることもあります。これまで複数の借金返済をしてきた人は一気に月々の返済額が減る一方、最低返済額のみの支払いをずっとしていると、支払期間が延び、結果として総支払額が以前のローンよりも大きくなる場合もあるのです。
借金の一本化に成功し月々の返済負担が減ることで、給料日前にに欲しいものがあったときなど気持ちが大きくなってしまい、新たな借金をしてしまわないようにしましょう。
あまり知られていないおまとめの落とし穴に、詐欺業者の存在があります。毎月の支払に追われている人は、切羽詰まっているものです。その弱みにつけ込むのが、おまとめ詐欺です。この記事で社名を挙げている銀行、大手消費者金融なら安心ですが、聞いたこともないような地方銀行や貸金業者と名乗るところからの借入には、十分注意してください。
また、中には現在ある大手金融会社の名前と似たような社名を名乗って、グループ会社だと見せかけるパターンもあります。お金を借りさせて送金するよう指示をするのが常套手段なので、そのような場合は警察に相談するのが一番です。
このようなデメリットもおまとめローンにはあることを自覚し、低金利・低返済額の利点を活かして、計画的に返済していくことが大切です。
短所①おまとめローンは審査が厳しい
「おまとめローンの審査は通りにくい」
キャッシング体験談の掲示板や特集、クチコミサイトでは、こうしたカキコミ投稿やツイートが見られます。ホントのところはどうなの?という疑問にお答えします。
おまとめローンの融資枠は普通のカードローンよりも高額設定となることから、金融機関の審査も慎重になるのは事実です。5社以上からの借入など、おまとめしても返済が難しいと判断されてしまうような人が申込む場合も多いので、審査通過率が通常ローンよりも低くなりがちです。そうはいっても、複数社からの借入れがあって、月々の返済が大変だと感じている人が対象のおまとめローンなので、審査ハードルがすごく高い、ということはありません。 おまとめローンの審査のポイントについて詳しくはこちら
短所②おまとめローンは返済期間が延びる
おまとめローンにすると、必ず返済期間が伸びるという意味ではありません。先述したように、金利が下がって利息支払分が減ることが多いので、これまでと同じ返済額であれば返済期間は短くなります。なぜなら、同じ返済額でも利息支払額が減少する分、元金が減っていく割合が大きくなるからです。でも、おまとめローンを利用する人は、毎月の返済額を少なくして返済負担を楽にしたいと考える人が多いです。そうなると、毎月の支払金額が減少するメリットと引き換えに、返済期間が長くなるのです。
短所③おまとめローンは返済総額が増える
「おまとめローン=必ず総支払額が減る」というわけではありません。おまとめローンの利率も金融会社によって異なります。
おまとめをしても金利があまり下がらないケースや、融資額が大きく返済額を最低限にして返済期間が長いケースでは、返済総額が変わらなかったり、むしろ逆に増えてしまうこともあります。
「そうはいっても、利率は下がっていて利息支払い分は減っているはずなのに、なぜ総支払額が大きくなるの?」
と、不思議に思う人もいるでしょう。わかりやすいように、具体的な事例を挙げて徹底解説・検証します。
Aさんは、消費者金融3社から、それぞれ実質年利18.0%で借り入れをしていました。
A社から50万円、B社から80万円、C社から70万円の、合計金額200万円の債務を背負っていました。3社とも支払日も返済金額もちがうので、佐藤さんは毎月返済管理に追われ、精神的にも辛くなってきました。
そこで、金利年15.0%のおまとめローンで200万円を借りて、3社には全額返済しました。
おまとめ前は、毎月の返済金額は合計72,304円で3年で返済できる予定でした。完済までの総支払額予定は、2591,319円でした。
おまとめ後は、毎月の返済金額は合計35,000円と半分以下になってすごく楽になりましたが、返済期間は8年に延びました。合計支払金額は、3399,565円で、おまとめ後の方が返済金額は約80万円増えてしまいました。
※あくまでも、一つの例ですので参考値としてご覧ください。
「えっ返済期間が伸びると、こんなに利息って高くなるの?」
そう驚いた方もいるのではないでしょうか。おまとめローンで利息率が減っても、その分返済額を減らして返済期間を長くしてしまうと、このように総支払額が増えてしまうことがあります。
毎月の返済額は最低金額に設定しておいて、余裕がある月やボーナス月に臨時返済をするという方法もあります。
一本化を考えるならシミュレーションが重要
借金をまとめて月々の支払額を減らし、返済管理を楽にするおまとめローンを検討中の方は、失敗しないおまとめローン選びのコツを知っておきましょう。 無料で返済シミュレーションできるおすすめ金融機関を見る
総支払額で損をせず、お得に借換えするためには、返済シミュレーションをして比較検討することがポイントです。おまとめ前のローンのまま支払いを続けた場合の毎月の返済額と完済時の総支払額を、おまとめ後の返済額と総返済額と比べてみます。
どちらが得かは、おまとめ前とおまとめ後の適用金利によって、だいぶ変わってきます。金利の異なる複数の金融機関のおまとめコースのシミュレーションをして、自作の比較徹底表を作って比べてみてもいいでしょう。
金融機関の公式ホームページ上にある、無料返済シミュレーションというコンテンツを利用すると、簡単で便利です。
おまとめローンのデメリットはなくすことができる?
おまとめローンのデメリットをなくし、毎月の返済負担と利息を減らして、かつ総支払額を少なくすることも出来ます。
お得におまとめする秘訣は、何といってもまずは低金利のおまとめローンの審査に通ることです。
「でも、今もう5社以上から借りているから審査に通らない」
そんな人は、残高が少ない金融機関の借入をまず完済して、借入件数を減らしてからおまとめに申込むといいでしょう。支払遅れは審査落ちの大きな要因の一つなので、返済日は絶対厳守です。着実に返済実績を積むことで、よりおまとめローンの審査に有利になります。金融会社は、申込者の年収から返済能力を判断するだけでなく、毎月きちんと返済してくれる人かどうかを個人信用情報の履歴から見極めているのです。同時に多数のおまとめローンに申込をすることは、できれば避けた方がいいでしょう。カードローンの申込履歴も信用情報に記載されるからです。
毎月の返済金額が減っても、早めに完済を目指すのが返済総額を抑えるコツです。
毎月絶対に支払わなればいけない最低返済額は低くしておいて、余裕があるときに臨時追加返済をすることで、毎月の返済額と完済までの返済期間、総支払額を全てカットすることも可能となります。
このように、おまとめローンのデメリットを把握することで、低金利・毎月の返済負担の軽減というおまとめの利点を上手く活用して返済計画をスムーズにする対処法が見出せるのです。
銀行と消費者金融|デメリットが少ないのはどっち?
おまとめローンの借入先の種類
一口におまとめローンといっても、適用金利や借入限度額、申込条件や返済条件など、各社異なります。おまとめローンには、大きく分けて次の3種類があります。
①銀行カードローン
②消費者金融のカードローン
③消費者金融のおまとめ専用ローン
この3種類のおまとめローンは、それぞれ適用される法律やルールが異なります。それぞれにメリット、デメリットがあるので、特性を知った上で自分に合ったおまとめローンを選ぶことをおすすめします。
銀行カードローンでおまとめ・借換するメリット・デメリット
メガバンクなどの銀行は、おまとめ専用のローンは用意していませんが、事業性資金等を除けば使用目的が自由で限度額も500~1000万円と高額なので、おまとめとして利用する人も多いです。
申込者の年収の3分の1までの融資に制限される総量規制対象外であることも、メリットの1つです。 専業主婦のカードローン契約について詳しく見る
契約限度額が100~300万円程度までは、収入証明書不要のケースが多いです。また、借入限度額は制限されることが多いですが、配偶者に安定収入がある専業主婦も銀行カードローンなら申込可能です。
基盤が確かな銀行融資という安心感もあります。普通預金口座を持っていれば、手持ちのキャッシュカードをローンカードとして兼用できるケースが多いので、家族や友人にうっかり財布を見られて借金がバレるかも、といった心配も不要です。ローンカードを自動契約機や店舗窓口、郵送などで受け取る必要がないので、周囲に内緒にしておきたい人には銀行融資は何かと便利です。
銀行融資のイメージとして、「低金利だけれど手続きが面倒で不便」と思っている人もいるかもしれません。 おまとめにおすすめな銀行カードローンをチェック!
しかし、最近では、銀行カードローンは低金利なだけでなく、土日祝日も即日融資対応など、利便性に優れたカードローンも増えています。
その一方でデメリットもあるので、しっかりと確認しましょう。
銀行カードローンでおまとめするデメリットは、審査ハードルの高さにあります。低金利な分、どうしても消費者金融やクレジットカード会社の審査よりも厳しくなってしまいます。貸倒れのリスクを減らしている分、低金利の恩恵を利用者が享受できると考えていいでしょう。だからといって、年収1千万円超でなければ銀行でのおまとめはできない、などということはありません。
たとえば、おまとめ専用の東京スター銀行スターワンバンクローンでは、申込条件が次の内容となっています。
・申込時の年齢が満20歳以上65歳未満
・給与所得者で正社員・契約社員又は派遣社員であること
・年収200万円以上
・保証会社の保証が受けられること
通常のカードローンなら雇用形態はアルバイト・パート・自営業などでも、安定収入があれば申込ができます。また、年収ラインもありませんので、やはり高限度額設定を希望する人が多いおまとめローンの審査ハードルは高いことが伺えます。とはいえ、年収200万円以上ということは月給20万円以下でもクリアーできるということです。会社規模に制限はないので、株式会社ではない個人事務所の正社員などでも申込可能です。
銀行カードローンでおまとめをするデメリットは、他にもあります。
それは、審査時間が長くかかるケースがあることです。通常は最短即日審査の住信SBIネット銀行、楽天銀行「スーパーローン」なども、希望する限度額が高額だと審査が慎重になるので通常より審査が長くなることがあります。
とはいえ、某銀行カードローンなど審査スピードを大々的に謳っている銀行カードローンは、高額融資でもスピード審査は変わらない場合もあります。
消費者金融でおまとめするメリット・デメリット
通常の消費者金融のカードローンの場合
通常の消費者金融のカードローンをおまとめローンとして利用するメリットは、何といっても審査スピードが早く、最短即日融資が可能であることです。大手消費者金融なら、最短審査時間は30分程度です。初回融資限定の無利息サービスを利用すれば、最初の30日間の利息がゼロになります。借入額が大きいおまとめローンほど、消費者金融ならではの無利息サービスで受けられる恩恵も大きいのです。利便性が高いのも、消費者金融ローンの魅力です。
逆にデメリットは、まず総量規制の適用を受けることです。申込者の年収の3分の1までの融資に制限されるので、住宅ローンや自動車ローン、銀行融資を除く借入総額が既に年収の3分の1を超えている人は、自動的に審査落ちとなってしまいます。もう1つのデメリットは、金利が高い傾向にあることです。長期間利用すると、徐々に金利は下がるものですが、初回融資では100万円未満なら18.0%、100万円以上なら15.0%という法定最高金利が適用となるケースが多いです。
消費者金融のおまとめ専用ローンの場合
消費者金融のおまとめ専用ローンは、総量規制の例外として扱われるというメリットがあります。つまり、年収の3分の1を超える借入れも可能となるのです。おまとめ専用ローンでも、消費者金融ならではの審査スピードは保たれ、最短30分とまではいきませんが最短即日融資も可能です。そして、借換え専用ローンなので新たな追加借入ができなくなります。これをデメリットと捉える人もいますが、新たな借金を作る可能性がなくなるので確実に計画通り、完済人に向けて返済を進めていくことができます。
おまとめ専用ローンのデメリットは、大手消費者金融の特権でもある利便性が薄れることです。通常の消費者金融のキャッシング審査なら、スマホやパソコンからWEB完結型申込が可能です。家や職場から一歩も動かず、申込をしてから最短1時間程度で自分の預金口座に必要な融資額を振り込んでもらえる・・・という融資方法は、おまとめ専用ローンではできないケースが多いのです。店頭窓口若しくは自動契約機、又は郵送による申込手続きや、ネット申込はできても手続は店頭窓口へ出向くパターンが多いです。
おまとめローンデメリットまとめ
毎月何度も返済日があって大変だった状況から、返済日が1つになって利息も返済額も減るおまとめローンは、一見良いことづくめのように思えます。でも、実際には借金返済が楽になったからと新たな借入をして借金を増やしてしまう人もいます。おまとめ前より急激に返済額が減ると、完済までの期間が延びて、総支払額も増える可能性があるというデメリットも存在します。おまとめローンだからといって、無制限に貸し出してくれるわけでは当然なく、希望融資額に応じた審査もあります。
低金利で返済負担が減るおまとめローンのメリットを最大限活かして賢くお得に返済するためには、自分の状況に合ったおまとめローンを選ぶことと、余裕があるときは臨時返済をして元金残高をどんどん減らすことがポイントです。
おまとめで適用金利が下がると、同じ返済額でも利息支払に回るお金が少ない分、元金が効率的に減っていきます。
複数業者への返済に追われていると、心に余裕がなくなってくるものです。その弱みにつけこむ悪徳業者も存在するので、おまとめローンを装った詐欺には十分注意してください。この記事で紹介したような名前が知れた銀行、消費者金融であれば安心ですが、聞いたことのない金融会社と名乗る業者からの勧誘は、不正業者ではないか慎重に確認する必要があります。